英語に限らずですが、語学力は、読む力、書く力、聞く力、話す力、の4つの力から構成されています。語学力は4つの力の総合力ですので、どの力も大切ですが、それぞれ力をつけるための方法が異なります。
読む力
読む力は独学で取り組めますので、4つの力の中でも取り組みやすい力だと思います。自分のレベルにあった文章を沢山読むことで徐々に力が身についてきます。最初は簡単な文章から取り組むと良いと思いますが、力が付いてくるとそれに応じて読む対象のレベルを徐々に上げていきます。すこし難しいかなと感じるくらいの文章を選ぶと良いかなと思います。
一口に読むといっても、精読と多読の二つの読み方があります。
精読は内容を正確に理解することに重点をおき、時間をかけてじっくりと読みます。一読して意味が理解できない場合は、辞書を引いたり、文法書を参照したりしながら、正確に理解できるまで繰り返し読みます。中学・高校の英語の授業や受験英語は基本的にこのアプローチですので、精読は日本人にとってはなじみのある方法だと思います。
一方、多読は沢山読むことに重点を置きます。大枠の内容が理解できればOKですので、細かいところは気にせずとにかく沢山読みます。沢山読むことで段々と語感が養われます。日本人に不足しているのはこちらのアプローチかなと思います。洋書を少なくとも100冊くらいは読み込まないと最低限の語感を身に付けることは難しいのではないかと思います。私もそうでしたので、よく分かるのですが、最初は読む速度も遅く、多読が苦痛に感じると思います。これを乗り越えるには残念ながら近道はなく、とにかく継続して沢山読み続けるしかないです。ある程度の量を読み込むと徐々にですが、読むのが楽になってきます。そうなれば、読書が楽しみになり、さらに沢山読むという、良いサイクルに入ることができます。多読で身に付けた語感は語学力の根幹となりますので、急がば回れではないですが、まずは多読に取り組むというアプローチは理にかなっていると思います。
書く力
書く力を磨くには沢山書く必要があります。ただし、語感が養われていない状態では、自分が書いたものが自然な英語か判断できないため、まずは多読により語感を養うことが最初のステップだと思います。
語学力のベースとなる語感ある前提ですが、書く力を磨くには沢山書くしかないと思います。また、書きっぱなしではなく、書いた章をネイティブにレビューしてもらい、そのフィードバックを蓄積していく必要があります。自然な英語を書くためには、自分でゼロから作文するのではなく、実際の英文を真似て文章を構成する方法が有効だと思います。昔予備校の授業で、英作文ではなく、英借文だ、と言われたことを思い出しますが、確かにその通りだと思います。
聞く力
まず大前提として、読む力が必要です。読んで理解できないものは、聞いても絶対に理解できません。当たり前ですが、知らない単語についても聞き取ることは出来ません。ですので、まずは多読、精読により読む力(特に語感を身に付けることが大切です)を鍛えましょう。その上で、聞く力を鍛えて行きましょう。
聞く力の鍛え方ですが、こちらも王道はなく、繰り返し沢山聞くこと、となります。ただ漫然と聞くのではダメで、必ず集中して聞く必要があります。残念ながら、ただ聞き流すだけで力が付くといった効率の良い方法はありません。
教材としては、NHKラジオ講座の英語や、ニュースの英語など、標準的な英語を選びましょう。スクリプトが用意されている音声を選んで自分がどのくらい聞きとれているか確認しながら進めると良いです。注意点としては、映画やドラマなどを教材に選ぶことは避けましょう。これらはノンネイティブである日本人にはハードルが高く、時間をかけても聞き取るようになれるとは限りません。少なくともTOEIC900点程度のレベルでは到底歯が立たないと思います。映画やドラマを英語で楽しみたいという気持ちはよくわかりますが、大半の人にとっては現実的な目標とはなりえず、コスパの観点からも、ここをゴールに設定することはお勧めできません。
話す力
話す力を身に付けるためには、まず書く力を磨きましょう。書く場合には事前の推敲等にある程度の時間を費やすことが出来ますが、話す場合は時間的余裕がないため、難易度が上がります。良質な文章を早く書けるようになることが話せるようになるための近道です。英語を話せるようになるために英会話学校に行く方がいますが、これはお勧めできません。時間をかけても書けないものは(瞬時に対応が求められる会話で)話せません。
まとめ
これまで説明してきた、読む力、書く力、聞く力、話す力、いずれも大切なのですが、残念ながらどれも一朝一夕には身に付きません。
取り組み方、考え方を以下に示します。王道はないのですが、継続的に取り組むことで、それぞれの力が向上し、結果として総合力である語学力が高まります。
- 多読精読により読む力を磨く。大半の日本人にとっては多読が圧倒的に不足している。まずは100冊程度の洋書の読み込みは必要。多読を通して語感を身に付ける。単語力を増強する。
- 多聞により聞く力を磨く。ニュースなど標準英語の聞き取りを目標とする。集中して聞く。漫然と聞き流しても効果はない。映画、ドラマの聞き取りはノンネイティブには高すぎる目標だと理解する。
- 沢山書くことで書く力を磨く。ネイティブのフィードバック、良質な文章を真似る、など自然な英語となっていることを意識する。
- 書けるようになれば、自然と話せるようになる。英会話学校に通っても話せるようにはならないと理解する。
4つの力の関係を図示すると以下となります。読む力が基本となり、その上に、聞く力、書く力、話す力が構築されているイメージです。まずは、土台となる読む力をしっかりと身に付けることが大切です。
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