「お客様は神様です」という言葉に象徴されるように、日本においては顧客(カスタマ)とサプライヤの主従関係は圧倒的です。顧客の要求に対してNOということは基本的に難しいものがあります。
海外で生活をしたことがある方なら分かると思いますが、日本の飲食店や販売店におけるサービスは丁寧かつきめ細やかなもので、海外に比べて圧倒的に優れています。これは日本人が当たり前に持っている「顧客第一」の文化に根差したものだと思います。
細かいところにも手が届くようなおもてなしを重視する、JALやANAなどの日系の航空会社のサービスと、質実剛健で必要最低限のサービスを提供する欧米のキャリアを比べるとイメージしやすいかもしれません。
このような日本の状況は、サービスを享受する側であれば大変素晴らしいのですが、逆にサービスを提供する側の立場に立つと状況は一変します。理不尽な要求をしてくるクレーマー(モンスターカスタマー)は社会問題にもなっています。
一方で、欧米では、顧客とサプライヤとの立場の違いはあれど、根底には人と人とのやり取りである、という考え方がベースにあると思います。ですので、日本で問題となっているようなクレーマーは欧米ではあまり聞いたことがありません。
ビジネスにおいても、同様に、顧客が日系か欧米かで特徴が全く異なりますし、対応方法についても異なってくると思います。
日系顧客の特徴
私は仕事上、日系顧客と対峙することが多いのですが、ときには理不尽とも思える要求、無理難題を言われることも少なくありません。
何か問題を起こした場合には怒鳴られることもありました。
また、起こした問題に対して事細かに説明を求められるのも日系顧客の特徴だと思います。どういう対策を打つのか、その対策は本当に大丈夫なのか、大丈夫だと言い切れる理由は何か、など根掘り葉掘り聞かれることになります。
これらら全て、お客様は絶対(少々理不尽な要求してもお金を払っている以上は許される)という日本独自の文化的背景からきているのだと思います。
欧米顧客の特徴
反対に、欧米の顧客はロジカルです。
例えば、こちらが問題を起こした場合においても、怒鳴られたりすることはまずありません。これは、相手を個人として尊重するという考え方が根底にあることと、相手を叱責しても状況打開に何のプラスにもならないことをよく理解しているからだと思います。
もちろん、追及が甘いというわけではなく、アウトプットはシビアに追及されます。
ただ、日系顧客と異なり、一旦アウトプット・期日をコミットした後は、その過程について事細かに追及されることは少ないです。
その代わり、コミットした結果を出せなければ次の仕事はもらえない、というドライな世界でもあります。日系顧客の場合、結果を出せなくても、頑張りが評価されることは良くありますが、欧米顧客においては結果が全てです。
日系顧客にはどう対応すればよい?
さて、怒鳴られたり、理不尽な要求をしてくる日系顧客にどのように対応すればよいのでしょうか?
残念ながら特効薬はないのですが、以下の点を心掛けるだけで、うまく切り抜けられる割合が増えると思います。
- 顧客の要求や叱責はいったん受け止める
- 逆らっても大抵は逆効果になります。相手の不満を和らげる効果もあるので、まずは受け止めるというアプローチが大切です。
- 顧客に出す情報は精査したうえで必要最小限にする
- 事細かに説明を求められるため、ロジックが通っているかを十分に精査した上で必要最小限の情報を提出するようにしましょう。
- 時には理不尽な要求に対して毅然として対応する
- これはケースバイケースでなかなか難しいのですが、時には理不尽な要求に対してNOということも必要かもしれません。または、要求されたことを実施するかわりに、追加費用を請求していく、というアプローチが有効な場合もあります。
まとめ
日本人には顧客第一の文化が根付いていて、ビジネスにおいてもこの考え方が浸透しています。
顧客の立場だからというだけで、相手を罵倒したりする人を見ると残念な気持ちになります。自身が怒鳴られたり、そのような場面に遭遇するたびに、私自身は絶対にそのような行動は取らないようにしようと思っています。
ただし、相手を変えることは出来ないので、まずは相手の要求を受け止めたうえで、できる対策をとっていく必要があります。あまりにも理不尽な要求に対してはNOということを考えてみても良いかもしれません。
クレーマーが社会問題になり、日本人の意識も少しずつ変わってきているので、今後の変化に期待しています。
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